伝説の劇画師 植木金矢展 ~痛快!ぼくたちのチャンバラ時代活劇~

伝説の劇画師 植木金矢展 DM

弥生美術館で植木金矢さんという劇画を得意とした画家の方の作品展をやっていたので行ってきました。自分自身植木さんを知らなかったんですが劇画調は好きですし、絵の勉強にもなるので行ってきたんですが、気付いたらファンになってしまった…。

植木さんは現在90歳を超えながらも未だ現役で絵を描き続けている人で、漫画が誕生する前から絵描きを仕事としていて挿絵、絵物語(漫画と小説の間のようなものでコマの間に文章が入っている)、漫画とまさに時代の流れを生きてきた人で今の漫画界を支えた一人と言っても過言ではないようです。

この展示では時系列順に作品が展示してあり、植木金矢さんの絵と共に時代の流れを知ることができ、オフセット印刷がまだ高価だった時代には墨、赤、黄、青の4色を刷っていたりと、今で言うフルカラー印刷のアナログ版といえるとても手間のかかった本を作っていたそうな。

なによりスゴいのがそのデッサン力!
幼い頃から絵描きになりたかったものの両親に反対されていたため、誰かに師事するということも、学校に行くこともなかったのに独学で描き続けたという絵への拘りとデッサン力の高さが作品から滲みでてます。

鉛筆で書かれた下絵はまるでデッサンのように描きこまれており、資料として自分で作成したデッサン帖は様々なアングルやポーズ、各部位が描かれていて思わず手に取って見たくなったほどです。(ガラスケースの中なので触れないけど)
Internet Museumのサイトに展示会場の写真が一部掲載されています。
デッサン帖の中身はYouTubeで詳しく公開されてます。

また絵だけでなく漫画のストーリーも奥深いものがあり、本人が大事にしている「誠実さ」と「謙虚さ」が展示されていた作品の「試された武士道」と「正義の爪」から伺うことができます。本人曰く

自分の作品では「試された武士道」が好きです。武士道の中には、やっぱり「誠実さ」があるんだよね。「正義の爪」なんかもそう。ああいう傾向のものが好きだね。好きだから描くのかな。「人間の誠実さ」、それが根底にありますね。それから「威張らない」っていうことね。威張る人嫌いなんですよ(笑)

他にも作品の登場人物に実在の役者を取り入れることで人気を集めるなどチャレンジ精神も旺盛な方だったようです。

そんなこんなで気付いたらファンになってたという次第。
作品自体もそうなんですが植木金矢さんという人柄も非常に魅力的です。
それ故に絵や漫画を描く人にとっては非常にいい展示だと思うので見に行って欲しかったんですが、如何せん自分が行ったのが最終日だったのがイタイ…。

この展示に合わせて作ったという本「劇画師伝説: 昭和の天才劇画家・植木金矢の世界」が販売しているので興味ある方は読んでみて下さい。ただ残念なのがこの本にはデッサン帖の中身があまりなかった点。

ちなみに同じ場所にある竹久夢二美術館とは繋がっていて渡り廊下を通って弥生美術館と行き来することができるようになっており料金も一緒です。外観はレンガ造りの昭和感漂うレトロな美術館といった感じ。

弥生美術館・竹久夢二美術館 外観